コンコルド広場と言えばルイ16世とマリー・アントワネットがギロチン台で首を斬り落とされた最期の地だが、サルコジにとっては2007年の大統領選で当確の発表を受けて大騒ぎで勝利を祝った場所。今年の第1回投票まで残り1週間となった4月15日、この日は4万人が参加するパリマラソンが行われるため、広場の奥まった不便な場所にステージを設置しなければならなかった。それでもサルコジ陣営が最後の大集会をここで開くことにこだわったのは、市民やテレビの視聴者に5年前の劇的な勝利を思い起こさせる効果を狙ってのことだろう。おそらく。
開始前のコンコルド広場(上の写真。サルコジの登場を待つ人々)を少し見たあと、地下鉄1号線に乗って20分ほどの終点の駅、ヴァンセンヌ城へ。パリの東の郊外に位置するここは、城郭のまわりに緑が広がる公園になっている。駅を出て公園に入ると、社会党のマークが描いてある旗、オランドのスローガンを記したバナーなどを持った人々がぞろぞろと歩いている。広場には10万人以上(主催者発表)。ロックバンドの演奏が終わり、まず、国会議員時代に同性愛者であることを告白し、2001年からパリ市長を務めるベントラン・ドラノエが登壇。髪を振り乱して、サルコジがいかにフランスをだめにしたかを強い口調で滔々と説明した。
続いて出てきたオランドは、びっくりするくらいカリスマがなかった。サルコジと同じ57歳。社会党の大統領候補に決まってから10キロ以上減量したそうで、エリートらしい育ちの良さ、気品や優雅さはそこそこ漂わせているのだが、ミッテランやシラクやドロールやジョスパンのような威厳、ドビルパンのような鋭さ、サルコジのような押しの強さをまったく発していない。ストラスカーンがスキャンダルで消えなければ、今ここに立っていることもなかったのだから無理もないが、それにしてもこのおじさんで本当にいいのか社会党。
(ヴァンセンヌ城のオランド集会の広場で売っていたTシャツ。サルコジのシルエットに RECASE-TOI pauv' Mr President(消え失せろ、ちんけな大統領)というコピーが添えてある。4年前、国の重要イベントである農業見本市を大統領のサルコジが訪れた際、握手しようとして拒絶された男性に向かってサルコジが言い放って騒ぎとなった Casse toi... pauvr con(消え失せろ、ちんけなクソ野郎) にかけている)
同行してオランドの演説を通訳してくれた人によると、サルコジ攻撃はドラノエに任せ、候補者本人はもっぱら「秩序を失ったフランスに公平さと公正さを取り戻す」ことを強調する内容だった。そう、オランドの集会では演説や支持者が掲げるプラカードや旗にも「JUSTICE」という言葉が目立った。「社会正義」というのは、1988年の大統領選で、経済政策に弱みのあった現職のミッテランが、政策論争よりエモーショナルな雰囲気を作ることで中道派に歩み寄ろうとして「平等」とともに掲げたスローガンである(『フランス現代史』渡邊啓貴・中公新書)。今回の選挙も中道の浮動票をいかに取り込むかがどの陣営にとっても最重要課題になっているので、オランドとしては格差と不公平性をある種の「不正義」と定義して、その是正を情緒的にアピールするのが効果的、と考えているのだろう。
オランドの演説の途中で切り上げて、再び地下鉄1号線に乗ってコンコルドへ。集会がほぼ同時刻となったため、サルコジの集会はちょうど終わったところだった。広場から引き上げてくる集会参加者とすれ違いながら、まず感じたのはオランド支持者との「階級差」。AFP通信が速報で「サルコジの集会参加者は多くが見るからに裕福で、着ているものも高級」と書いていたが、誇張ではない。日曜日なのでカジュアルだが、小ぎれいなコートかジャケットを着た上品なムッシュとマダム。あるいは「ニコラ!ニコラ!」を叫ぶ、育ちがよさそうな大学生と20代の若者。ほとんどがコーケージアン。かたやヴァンセンヌ城のオランド集会に集まったのは、教師などホワイトカラーの公務員も多かったが、全体としてはかなりの割合が見るからにブルーカラーで、印象としては2〜3割をチュニジア/アルジェリア系、それ以外のアラブ系、アフリカ系が占めていた。
どちらの集会も会場近くに駐車する大型バスが群れをなし、フランス東部や西部、南部の都市からも動員をかけたことをうかがわせたが、それにしてもこのようにカラーが歴然とした状況はどちらの陣営にとっても好ましくないだろう。パリに住む人に聞くと、5年前の選挙時はサルコジへの期待から、中道の左右両派だけでなく、社会党の支持者からもサルコジに投票する人がいたという。集会の様子は、そうした人々が離れていったことを物語っている。
オランドにしても、これまでの支持率の優勢は社会党やオランド個人の支持を意味しない。パリで会ったフランス人ジャーナリストは「サルコジに反感を覚える人が今はとにかく多い。政策的にとんでもない失敗を犯したわけでもなく、理由ははっきりしないのだけど。キャラクターの問題というか…」と言っていた。頼りの「反サルコジ票」をメランションに引き剥がされつつある状況で、ホワイトカラーを含む中道の中間層に支持を広げたいオランドとしては、集会参加者の偏りは歓迎しにくいものだったかもしれない。
サルコジの集会にサプライズでシラクが登壇するという噂も流れていたそうだが、アルツハイマー病を患っているとされる前大統領は(当然のことながら)姿を現さなかった。集会の後、サルコジがコンコルド広場を去る様子を目にしたが、公用車をわざわざ途中で降りて、長々と待っていた熱狂的な支持者のもとへ立ち寄る大統領の姿より、その様子を遠巻きに眺める人々の冷めた視線のほうが印象的だった。
世論調査などによると、今回は棄権する有権者が非常に多いと見込まれているという。巧みな弁舌で左右関係なく反サルコジ感情を掃除機のように吸い込んでいるメランションの周囲を除けば、5年に一度の大統領選にパリが燃えているとは言いがたい。
ジャケット ダウンジャケット ブランドnewera サイズキャップ 着こなしモンクレール キッズ ダウン通販 ジャケットニューエラ キャップ 通販http://www.tycc9.com/モンクレール 新作 2013moncler モンクレールダウン モンクレールニューエラ ドラえもんnew era 渋谷モンクレール 公式モンクレール everhttp://www.tycc8.com/モンクレール 種類ニューエラ 札幌モンクレール 買取モンクレール ダウン 2011モンクレール 帽子new era シールモンクレール 2013 新作http://www.tycc3.com/
投稿情報: boldneess | 2013/09/15 18:44